BirthControl―女達の戦い―
そりゃそうだろう。


有り得ない映像に院長が映っていたのだから……


しのぶたちはざわついてる院内を横切り、救急車に乗り込むとOldHomeへと向かった。


高い塀に囲まれた不気味なオーラを纏う要塞は、昼間だというのに何となく淀んで見える。


徐々に近づいていくと、そこにはおびただしい数の人や車で埋めつくされていた。


きっとあの映像を見て集まったに違いない。


政府はまだ動きを見せていなかった。


何かしらの声明文でも発表されてもよさそうなものだったが、電波がジャックされているためそれも出来ないらしい。


ふと見ると黒塗りの車がOldHomeに向かって真っ直ぐ突っ込んでくる。


記者たちを掻き分けて、強引に進むその車に誰が乗っていたのか、この時のしのぶたちが知るはずもなかった。


それが麻生大臣だったことを知ったのは少し後のことだ。


ずいぶんと時間が過ぎた辺りで、OldHomeに変化があった。


二台続けて出てきた車には父の姿も見えた。


(良かった……無事だったんだ……)


緊張していた体が、そう思ったと同時に脱力した。


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