BirthControl―女達の戦い―
そう言ってから、人だかりのする大画面の方に視線を移す。


礼子もそれにつられるようにそちらに目線を移した。


「何か……あったんですか?」


そこでようやく彼女はこの異様な光景に気付いたようだ。


「OldHomeで何かあったらしい……

もしかすると政府に不満を持つ者があの施設の実態を世間に知らしめようとしてるのかもしれない

たぶんこのまま何もなかったようには政府も出来ないと思うよ?

だからこれから先、政治が動くかもしれない」


「それで、政策が変わるかもしれないと?」


「うん、まだわからないけどね?

だから礼子ちゃんも、自分の気持ちに正直に、素直に生きた方がいい

後悔しないようにね?」


いつの間にか人生論を説くような、大人ぶって偉そうなことを言ってしまってる自分に気付いた。


あんなことした自分が何を偉そうにと苦笑する。


それでも礼子は裕之の言う意味を理解したようだった。


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