BirthControl―女達の戦い―
許せない気持ちと、母を心配する気持ちの狭間で、礼子は揺れていた。


決心は固そうだけれど、母が働いて得られるお金など微々たるものに違いない。


それで子供を三人も養えると思っているのだろうか?


給付金もないというのに……


ふいに洋一の顔が頭に浮かんだ。


結局、彼との間に子供は出来なかった。


もしかしたら、奥さんに子供が出来なかったのも、洋一が原因なんじゃないかと礼子は思い始めていた。


その証拠に、あれから何度も体を重ねているけれど、妊娠する気配はない。


相変わらず仕事もせず、礼子に頼ってばかりの洋一に、だんだん嫌気がさしているのも確かだ。


少子化対策支援法が廃止になった今、あの男と一緒に暮らすことに、礼子は何のメリットも感じなくなっていた。


だけど……と礼子は思う。


好きでもない男と、子供を作れば支援を受けられると、偽りの家庭を作ろうとしていた自分はどうなんだろう?


やっていることは父や母と変わらないのではないか?


そこに打算はなかったかといえば、確実にあったのだから。


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