BirthControl―女達の戦い―

数時間前、礼子の母らしき女性が店を訪ねてきた。


それからだ、彼女の様子がますますおかしくなったのは。


洋一は部屋に押し込められて、出てこないように言われたけれど、気になって盗み聞きしてしまった。


話の内容からすると、父親が亡くなったらしい。


両親を恨むほどの何かが礼子にあったこともわかった。


それが何なのかまではわからなかったけれど……


礼子は母親を帰してから、しばらく考え込んでいたけれど、思い立ったように喪服に着替えて出ていった。


父親の葬儀に行くのだとすぐにわかった洋一は、一緒に行くと礼子に言ったけれど、それは無惨にも一蹴された。


……一人で行きたいの


そう言われたらそれ以上何も言えない。


仕方なく洋一は大人しく留守番をすることにした。


すぐに帰ってくると思われた礼子は意外にも遅くまで帰ってこなかった。


夕飯も食べずに一人、この部屋でじっとしていると、何だか捨てられた子猫のような気分になる。


雨の音がいろんな場所に落ちるたび、それぞれの音を醸し出して、それがなんだか音楽のように聞こえて、まるで洋一を慰めてくれてるようだった。