BirthControl―女達の戦い―
そういうセリフをよくも簡単に言えたものだと思う。


女に捨てられたから百合子のところに来ただけなのはわかりきってるというのに。


この期に及んでもまだ、誰かに頼ろうとする洋一に、百合子は侮蔑した目を向けた。


「仕事は?」


「えっ?」


「仕事は何をしてるの?」


この反応からして、リストラされてからずっと働いていないんだと百合子は思った。


女に養われて生活していたんだろう。


捨てられて当然だ。


しかもやり直したいと言いながら、仕事もしていない状態で、どうやり直すつもりでいるんだろうか?


今度は百合子に頼って養ってもらうつもりでいるんだろうか?


洋一は気まずそうに目を泳がせながら、それでも百合子とやり直したいと訴えてくる。


「今は……働いてないけど……

百合子がやり直してくれるなら、俺頑張れると思うんだ!

だから……また一緒に暮らそう?」


百合子はわざと大きく溜め息をつくと、洋一に向かって言った。


「ごめんなさい……

私はもうあなたとやり直すつもりはないわ?

自分の居場所を……見つけたの」


すると洋一の様子が一変した。


< 396 / 406 >

この作品をシェア

pagetop