BirthControl―女達の戦い―
それから急にこちらに近づいてくると、私の両腕を痛いくらいに掴んでくる。


「男が出来たのか!?

そうなんだろ?

誰なんだよ!相手は!」


その言葉に、百合子は心の底から洋一が哀れになった。


体の関係でしか愛情を確かめられない可哀想なこの男のことを……


「あなたと一緒にしないで!

それにもしそうだったとしても、離婚したあなたにそんなこと言われる筋合いはないわ!」


百合子が珍しく声を荒げてそう言えば、洋一も負けじと自分の気持ちを押し付けてくる。


「もう抱かれたのか!?

俺しか知らなかった体を他の男にも開いたのか!?

百合子!俺は今ならお前を満足させられる!

そんな男より俺の方がお前を悦ばせることが出来るんだよ

なあ、もう一度抱かせてくれ

そしたらわかるはずだから……」


何が分かると言うんだろう?


愛のない行為で、わかることなど何もない……と百合子は思う。


洋一は掴んでいた手を、今度は背中に回して百合子を強く抱き締めた。


そしてそのまま百合子の首筋に唇を這わす。


首筋から耳へと舐めあげながら、耳たぶを甘噛みしてきた。


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