BirthControl―女達の戦い―
もし、助けてあげられるなら、そうしてあげたかった。


それであの頃の洋一に戻ってくれるなら、いくらでも手助けしてあげたい。


だからといってまた夫婦に戻ることは出来ないけれど……


あの時の選択は間違ってはいなかった……と百合子は思う。


今、彼はきちんと働き、充実した生活を送っている。


仕事にも少しずつ慣れて、自信もついてきたように見えた。


時折見せる笑顔も、大好きだったそれに近づいてきている気がする。


あれから……


洋一は百合子にもう、よりを戻そうとは言わない。


ただ……会うたび感謝されるだけ。


やっぱり最初に気付いた違和感は当たっていたんだと、百合子は苦笑した。


同じ職場で働いていても、もう男女の関係になる心配はないだろう。


百合子自身も、洋一を見つめる時、女としてではなく、母のような目で見守っていることに気付いていた。


息子が一人立ちしてくれたような、そんな不思議な感覚。


彼女でも出来て紹介してくれたとしても、嫉妬どころか微笑ましく思えるかもしれない。

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