BirthControl―女達の戦い―
自分にはすでに3人の子供がいるから、特にそんな風に気にしたことはなかったけれど、確かに一人だけしかいなければ、焦るのかもしれない。


「あの頃、宮内さんの会社大変だったみたいだし、奥さんも子宮の病気で子供が産めない体だったから、今後のこと考えてね?

礼子ちゃんに……子供を生ませたんじゃないかって言われてるのよ」


(そんな……まさか……)


しのぶは信じられない思いで一杯だった。


自分達の生活のために、宮内は実の娘を犠牲にしたってことになる。


しのぶ自身が一人娘なだけに、この両親からの仕打ちを礼子はどんな気持ちで受け止めたんだろうと胸が痛くなった。


「それでね?

礼子ちゃんの相手って言うのが……

宮内さんが自ら選んだ相手に頼んで、礼子ちゃんの部屋に招き入れてたらしいの」


しのぶは耳を疑った。


いくら金のためとはいえ、そんなことをする親がいるなんて、信じたくなかった。


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