BirthControl―女達の戦い―
「そういえば、久枝さんは元気にしてるかい?」
哲朗はふと思い出して、遥香にそう聞いてみた。
「久枝さんなら元気ですよ?
相変わらず毎日花壇を散歩してます」
久枝がこの施設に来てからもう5年になる。
いつもここの職員や、他のお年寄りにも気を配る、優しいムードメーカー的なおばあちゃんだ。
遥香もまだここにきて間もない頃、久枝には救われたとよく話していた。
久枝はここにいる悲しい過去と向き合う女性達を、心の底から心配していた。
哲朗にとってもこの施設で唯一、今の政治について話せる相手でもあった。
だからこそ毎月、久枝の安否は確認せずにはいられない。
他の誰かのように、またいつ突然いなくなるかわからないと不安に思っていたからだ。
まだこの施設に来て5年しか経っていないのだから大丈夫だと心の中で思ってはいるものの、反政府的な発言をしているだけに哲朗は久枝が心配でならなかった。
「いつものように職員から先にお願いしますね?」
遥香にそう声をかけられて、哲朗はゆっくり頷いた。
哲朗はふと思い出して、遥香にそう聞いてみた。
「久枝さんなら元気ですよ?
相変わらず毎日花壇を散歩してます」
久枝がこの施設に来てからもう5年になる。
いつもここの職員や、他のお年寄りにも気を配る、優しいムードメーカー的なおばあちゃんだ。
遥香もまだここにきて間もない頃、久枝には救われたとよく話していた。
久枝はここにいる悲しい過去と向き合う女性達を、心の底から心配していた。
哲朗にとってもこの施設で唯一、今の政治について話せる相手でもあった。
だからこそ毎月、久枝の安否は確認せずにはいられない。
他の誰かのように、またいつ突然いなくなるかわからないと不安に思っていたからだ。
まだこの施設に来て5年しか経っていないのだから大丈夫だと心の中で思ってはいるものの、反政府的な発言をしているだけに哲朗は久枝が心配でならなかった。
「いつものように職員から先にお願いしますね?」
遥香にそう声をかけられて、哲朗はゆっくり頷いた。