Over Line~君と出会うために
ライブの余韻に浸り、そこかしこで立ち止まって興奮気味に会話を交わしている観客の間をすり抜け、彼は人気のない方へと向かう。
奥へと続くドアの前に立つガードマンに片手を上げるように挨拶をして、彼はそのドアを開けると、彩に「どうぞ」と言った。
ドアをくぐってそこを閉め、外のざわめきが聞こえなくなってから、彼は彩へと向き直る。
「はじめまして。俺は、REAL MODEのプロデューサーを務める、天宮順平といいます。まあ、会社で言うのなら、あいつの上司みたいなもんかな。ライブハウスで歌っていたあいつを拾ってきたのは俺だし。……それで」
と、彼……天宮が彩を覗き込む。
「ライブは、どうだったのかな? あいつが全てを懸けている場所だ。楽しんでもらえたんだと、俺は思っているんだけど?」
その問いかけに、何をどう答えたらいいのかわからなかった。
そんな彩の沈黙をどう取ったのかはわからないが、天宮はそのまま先へと進んでいく。それに遅れないようについて行きながら、頭の中で今までのことがぐるぐると回っていた。
貴樹は、大切な仕事だと、言っていたことがある。その内容までは聞かなかったけれど、今日のライブを見れば、彼がどれほどこの場所を大事にしているのか、わかる。そして、そんな貴樹の一面を目の当たりにして、自分がどうすればいいのかを考えつけなかったのだ。出て来るのは月並みな言葉ばかりで、アンケートだってたった一言しか書けなかった。
奥へと続くドアの前に立つガードマンに片手を上げるように挨拶をして、彼はそのドアを開けると、彩に「どうぞ」と言った。
ドアをくぐってそこを閉め、外のざわめきが聞こえなくなってから、彼は彩へと向き直る。
「はじめまして。俺は、REAL MODEのプロデューサーを務める、天宮順平といいます。まあ、会社で言うのなら、あいつの上司みたいなもんかな。ライブハウスで歌っていたあいつを拾ってきたのは俺だし。……それで」
と、彼……天宮が彩を覗き込む。
「ライブは、どうだったのかな? あいつが全てを懸けている場所だ。楽しんでもらえたんだと、俺は思っているんだけど?」
その問いかけに、何をどう答えたらいいのかわからなかった。
そんな彩の沈黙をどう取ったのかはわからないが、天宮はそのまま先へと進んでいく。それに遅れないようについて行きながら、頭の中で今までのことがぐるぐると回っていた。
貴樹は、大切な仕事だと、言っていたことがある。その内容までは聞かなかったけれど、今日のライブを見れば、彼がどれほどこの場所を大事にしているのか、わかる。そして、そんな貴樹の一面を目の当たりにして、自分がどうすればいいのかを考えつけなかったのだ。出て来るのは月並みな言葉ばかりで、アンケートだってたった一言しか書けなかった。