Over Line~君と出会うために
「まさかとは思うけど……あの日、見ていたとか?」
「……うん。貴樹は嫌だって言うから、こっそりと見送るだけのつもりだったんだけど……つい」
「あ、あれは、追っかけで、俺が好きで引き連れて歩いているわけじゃないよ!」
「ふうん」
 微妙に冷たく返した彩に、貴樹は慌てたように立ち上がる。あまりにも勢いよく立ち上がったために、何だか視界がぐるぐるして眩暈がしたが、そんなことはかまっていられなかった。
 この誤解を解かなければ、生きていけない!
「お、俺が好きなのは彩だけだから! だから、捨てないで!」
「恥ずかしいことを大声で言わないで!!」
 彩は怒って怒鳴ったけれど、彼女がいなくなるかもしれないと思ったことに比べれば、全然怖くなかった。まだふらつく身体を騙しつつも彩に歩み寄って、彼女を抱きしめる。
「大好き、彩!」
 彩は羞恥のために顔を真っ赤にして、貴樹を引き剥がそうともがく。それを見ていた周囲の面々が、アホな犬がいる、と思ったのは、間
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