Over Line~君と出会うために
「そりゃあ、また、とんでもないことを言い出したな、貴樹。ライブ大好きで、スイッチ入ると周囲も見えなくなって酸欠になるまで走り回っちまうお前が、どこをどうしたらツアーに行きたくないとか言い出すんだ? 天変地異の前触れか?」
「……その言い方はひどい」
貴樹の控えめな抗議など、天宮は聞く耳を持っていない。
天宮にとっては、貴樹の戯言などただの我儘にしか過ぎない。それをいちいち聞いていたら、身がもたない。そうでなければ、過密スケジュールの貴樹と共に動く総合プロデューサーなど、こなしていられないだろう。
「本気で言ってるのか?」
「……本気って言うか……そういう気分、ってだけ、だけど」
「気分は困るなぁ。チケットは完売してるんだが?」
天宮の台詞は随分と空々しい。何を考えているのか、その表情からはわかりづらかった。
「……で、理由は?」
「好きな人が、できて」
「うん? それで?」
にこにことして続きを促しながらも、その実、天宮の目は全く笑っていない。
「……その言い方はひどい」
貴樹の控えめな抗議など、天宮は聞く耳を持っていない。
天宮にとっては、貴樹の戯言などただの我儘にしか過ぎない。それをいちいち聞いていたら、身がもたない。そうでなければ、過密スケジュールの貴樹と共に動く総合プロデューサーなど、こなしていられないだろう。
「本気で言ってるのか?」
「……本気って言うか……そういう気分、ってだけ、だけど」
「気分は困るなぁ。チケットは完売してるんだが?」
天宮の台詞は随分と空々しい。何を考えているのか、その表情からはわかりづらかった。
「……で、理由は?」
「好きな人が、できて」
「うん? それで?」
にこにことして続きを促しながらも、その実、天宮の目は全く笑っていない。