Over Line~君と出会うために
「東城くん……いきなり、どうしたんですか」
顔を出して不思議そうに問いかけた彩に、持っていたケーキの箱を押し付けるように差し出した。
「え? な、何?」
頭の中はまっしろのまま、さっきからずっと繰り返してきた言葉だけが無意識に滑り出す。
「三枝彩さん、俺と、付き合って下さい……!!」
「……どこに?」
きょとんとして、彩は聞き返した。
腕に抱えた大きな箱から漂う甘い香りも手伝って、それはとても可愛らしく見えたけれど、その言葉はとっくに振り切れていた貴樹の思考をストップさせるには充分すぎるほどの威力を持っていた。
どうして、そんなお約束なボケをかますのだろう、と、貴樹は何だか切ない気分に襲われる。
「え……っ、あの、そういう意味じゃないんだけど……」
「えーと……その、それは」
「……俺と、お付き合いして欲しい、ってこと。……その、こ、恋人として」
「ふうん、そう」
最初はボケで、今度はあっさり流された。しかも、全く答えになっていない。
顔を出して不思議そうに問いかけた彩に、持っていたケーキの箱を押し付けるように差し出した。
「え? な、何?」
頭の中はまっしろのまま、さっきからずっと繰り返してきた言葉だけが無意識に滑り出す。
「三枝彩さん、俺と、付き合って下さい……!!」
「……どこに?」
きょとんとして、彩は聞き返した。
腕に抱えた大きな箱から漂う甘い香りも手伝って、それはとても可愛らしく見えたけれど、その言葉はとっくに振り切れていた貴樹の思考をストップさせるには充分すぎるほどの威力を持っていた。
どうして、そんなお約束なボケをかますのだろう、と、貴樹は何だか切ない気分に襲われる。
「え……っ、あの、そういう意味じゃないんだけど……」
「えーと……その、それは」
「……俺と、お付き合いして欲しい、ってこと。……その、こ、恋人として」
「ふうん、そう」
最初はボケで、今度はあっさり流された。しかも、全く答えになっていない。