Over Line~君と出会うために
 それは、確かに天宮の言うとおりだった。
 彩には彩の生活があって、それは、貴樹と同じものではない。今日は平日だし、今から訪ねて行ったとしても、彩は仕事に行っていて留守である可能性は高かった。それは、最初からわかっていた。
 ただ、一秒でも早く彩に会いたかった。
 そのためには、彩の部屋で彼女の帰りを待っていることが、一番確実な手段だから。
 それに、少し考えたかった。彩が帰ってくるまでに、REAL MODEの東城貴樹ではなく、ただの東城貴樹に戻って、一人で考えを纏めたかったのだ。
「……わかった。病院へは行くよ。だから、離して。逃げないから」
< 86 / 119 >

この作品をシェア

pagetop