ひだまりHoney

思わず紺野さんを見れば、彼もじっと私を見つめ返してきた。

そのまま、私との距離を詰めてくる。

荷物など見ていないと思う。

たぶん……私の反応を見ているのだ。

僅かに緊張感が走ったけれど、私の足は後ろに下がらなかった。

それを見て、また一歩、私に近寄ってくる。

ラーメンを奢ってもらった次の日から、紺野さんは私を観察している……ような気がしてならなかった。

前と変わらず、距離を取ってくれることもあれば、敢えて適正距離より内側に踏み込んでくる時もある。

試されているような気がしてならないのだ。

ダンボールを持ち上げようと、紺野さんの身体と俯き加減の顔がぐっと近付いた。

ふいに、私はあの夜のことを思い出してしまった。

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