ひだまりHoney
後ろから抱きしめられた時の温かさ。腕の力強さ。頬に触れた紺野さんの指先の感触。
そして今、目の前にはあと少しで触れていただろう唇がある。
急激に気恥ずかしさが込み上げて来て、私の目は泳ぎ始めた。
いつもとは違う感情で、心が乱されていく。
「あ、あの……女性の名刺、何枚集まりました?」
何か言葉を発しなくちゃ、頭が壊れてしまいそうな気がして、私はよく考えないまま、そんなことを聞いてしまっていた。
涼しげな顔でダンボールを受け取ったくせに、紺野さんは私の一言で急に重たそうな顔をした。
「……まぁ、それなりに」
「そ、そうですか。大人気ですね、紺野さん」
紺野さんが黙ってしまった。