ひだまりHoney
「いえ。さっき廊下で買いました」
「そうですか……あっ、ちょっと失礼」
大田原さんは鳴り出したスマートフォンを手に、慌てて窓ぎわへと移動した。
私はその姿を目で追った後、休憩スペース内をぐるりと見回した。ここにも自動販売機があったようだ。
そして最後に美都里さんへと目を向ける。
目が合った瞬間、彼女は私に手招きをしてきた。
真剣な瞳にたじろぎながら、私は彼女の隣に腰を下ろし、テーブルに缶コーヒーを置いた。
「ねぇ、なんでさっき固まってたの?」
「さっき?」
「うん。私と大田原さん見て固まってたじゃない」
「……私、固まってました?」
「カチカチだったよ」
鑑賞中だったのでなんて言えず口ごもると、美都里さんは息を吸い込んだ。