ひだまりHoney
複雑な顔をする美都里さんの後ろに、楽しそうな大田原さんがつく。
二人が部屋から出て行くのを見送ってから、私は自分の手元に視線を戻した。
また元カノ貞子か。
自然と眉根が寄っていく。
お弁当袋から、おにぎり二つとおかずの入った容器を、少々手荒に取り出した。
「……腹減ってきた」
「えっ!?」
紺野さんが私の隣に立ち、お弁当を見下ろしている。
「……あとちょっとだけ仕事片付けたら、俺も買いに行くかな」
美都里さんのお弁当箱や、大田原さんのパン屋の袋を見て、紺野さんは切なそうにそんなことを言う。
「おにぎり、一つ食べますか?」
「良いの?」
「はい。中身は鮭ですけど」
「やった」