ひだまりHoney
凛とした声と共に、目の前の重みが取り除かれる。
身を起こせば、ドアの向こうに紺野さんがいた。
体勢の崩れた勇弥君の襟元を、紺野さんが両手で掴み上げている。
「何って。イイコトだろ?」
私を見た瞬間、紺野さんの顔が蒼白になった。
こんな姿見られたくない。
必死に身なりを整えようとするけれど、震える手では、思うようにいかなかった。
「……ふざけんな」
「やだな。あっちから誘ってきたんだよ」
「そんなわけあるか!!」
「あるよ。僕たちさ、前に付き合ってた事があったし。僕の顔を見たら欲情しちゃったみたいで――ぐっ」
「今、何て言った」
「え? 欲情? それとも付き合ってた?」
鈍い殴打音が響いた。
「痛ぇな、紺野! 何すんだよ!」