ひだまりHoney
ここから出たい!
「すっ、すみません」
流れ込んでくる力の波を押し返し、この箱から出ようとするけれど、声は掠れ、足も上手く力が入らなかった。
「珠洲!」
扉が閉まり掛けた時、その扉を押しとどめるように、ガコンと音がした。
「ちょっと、みんなどいてやって……珠洲、出て来られるか?」
聞き取りやすい声が小さな空間で反響する。人々が動き、道が出来きた。
その先に、エレベーターのドアを手で止め、心配そうな顔を浮かべている紺野さんが見えた。
「す、すみません。ちょっと気持ち悪くなっちゃって」
「珠洲さん、大丈夫ですか?」
扉近くにいた大田原さんの手が、心配げに伸びてきた。
それに対し、ぞわりと鳥肌がたった。