ひだまりHoney

横に並んだ大田原さんを見上げ、私は一歩後退した。

「おっ。そうなんだ。行ってこい、平加戸」
「大田原さんと夕飯だなんて。高級なの食わせてもらえそうっすね……良いな」
「……はぁ? 食事会?」

紺野さんが目をキラキラと輝かせ、多分桃宮さんだと思われる人がごくりと唾を飲んだ。

そして作業していた女性二人の攻撃的な視線が、容赦なく突き刺さってきた。

「早く行こう、珠洲ちゃん!」
「み、美都里さん?」

私の腕に絡みつきながら、美都里さんが覗き込んできた。

「まずは二人よりも、何人かで行った方が良いと思いまして。他にも、あと二人ほど声を掛けました。エレベーター前で待ってますよ」

目の前の光景がくらりと揺れた気がした。

< 97 / 447 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop