理想の恋愛関係
それからしばらくは、他愛無い話をした。


一時間位話しお互いの近況報告が終わると、茜さんは思い出したように言った。


「二つ先の病室に入院している人、少し変わっているって噂なの」

「変わってる?」

「怪我で入院しているみたいなんだけど、一度も病室から出たのを見た事無いのよ」

「たまたま茜さんが見てないだけじゃないの? いくら何でもずっと病室に籠もってる訳無いでしょ?」


私は部屋をグルリと見回しながら言った。


個室だし、圧迫感が有る程狭くは無いけど、それでも長い間ここから出ないなんて有り得ないと思った。


寝たきりならともかく、回復して来たら外に出たいと思いそうだけど……実際中庭を散歩している入院患者らしき人達を沢山見た。


でも茜さんは険しい顔をして首を振った。


「私だけじゃなくて他の人も見た事無いの、変わっているでしょう?」


「まあ……そうね」


私としてはそれ程興味が湧かない話だった。


確かに変わっているとは思うけど、所詮他人の話だし。


私の気の無い返事に茜さんはつまらなそうな顔をして、それでも話題を変えずに続けた。

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