理想の恋愛関係
「その変わっている人の部屋にね、毎日若い男の人が来ているのよ。
遅い時間にスーツ姿だから会社帰りだと思うんだけど……それが結構素敵な人で密かに人気が有るの」

「ふーん。それなら話しかけてみればいいのに」


相変わらず私には興味無い話だけれど、とりあえず合わせておく。


「なんか話しかけ辛い雰囲気なのよ。近寄りがたいというか暗いというか……」

「……暗い?」


そのキーワード……。


「そう、暗いの。なんかいつも疲れている感じで、若いのに影が有るというか……あっ、こう言うとイメージ悪いけど実際は……」


「暗くて疲れている若い男……」


茜さんの話は途中だったけれど、私は座っていた椅子から立ち上がり急いで廊下に飛び出した。





二つ先の病室の前に行き、ネームプレートを確認する。



――二ノ宮優子――



茜さんの話から予想していたのに、見た瞬間ドキリと心臓が跳ねた。


やっぱり優斗君のお母さん……茜さんの病室のこんなに近くに居たなんて。


衝動的に扉を開けてお見舞いをしたくなったけれど、さすがに突然そんな事は出来ない。


ぼんやりとその場に立ち尽くしていると、看護師がやって来て私を不審そうな目で見た。

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