理想の恋愛関係
自分も適当な魚料理を注文し、まずは当たり障り無い話をした。


里桜さんは私の仕事に関心を持ったようで、興味深そうに聞いていた。


そうこうしている内に彼女の緊張も解けたように見えたので、私は本題を切り出す事にした。


「あの、今日来て頂いたのは電話でも話した通り、優斗君の事を聞きたかったんです。と言うか伝えたかったと言うか……」

「どんな事ですか?」


大分打ち解けて来たのか、里桜さんはごく自然な様子で言った。


「私と優斗君が、婚約寸前で破談になった事はご存知ですよね?」

「あ、はい……」


里桜さんは気まずそうに頷いた。


「優斗の都合で破談になってしまったと聞いています。申し訳有りませんでした」


里桜さんは、優斗君の代わりのつもりなのか本当に申し訳無さそうな顔で頭を下げた。


優斗君本人にもこんな真摯に謝られた事はない。


一瞬、驚いてしまったけれど、すぐに気を取り直して言った。


「謝らないで下さい。今日は破談の事を話したくて来て頂いた訳じゃ無いんです」

「他に……何か問題が有るのですか?」


里桜さんは心配そうに顔を曇らせた。


「いえ、問題って程じゃ無いんですけど」

「それなら……」


首を傾げる里桜さんに、私は先日見かけた優斗君の様子を話して聞かせた。

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