理想の恋愛関係
「私、優斗君が心配なんです。とても弱っている様に見えたんで」

「……」

「私と破談になって、会社と家を失ったと聞いたから気になって……でも兄に聞いたら仕事は特に問題無いみたいだから家の事かと思って。
私には家の事情は分からないけれど、里桜さんなら分かってるでしょう?」

「はい、それは……」


里桜さんの表情から、彼女は優斗君の問題を理解していると確信した。


「久しぶりに見たら、顔色も悪くて弱ってるように見えたから心配で……今はお母様も入院していて一人暮らしでしょう? どうしても気になってし里桜さんに連絡してしまったんです」


里桜さんは少し驚いていたけれど、すぐにその顔に小さな笑みを浮かべた。


「栖川さんは、本当に優斗を心配してくれてるんですね」

「優斗君からしたら余計なお世話でしょうけど」


そう言うと、里桜さんは首を横に振り言った。


「私、近い内に優斗に会ってみます」

「そうですか、良かった」


私はホッとした気持ちになり言った。


なんとなくだけど、里桜さんなら優斗君の助けになれると思った。


その後、また他愛無い話をして過ごしたのだけど、そろそろ帰ろうかという頃、里桜さんは少し迷った様子で言い出した。


「栖川さん、優斗は幼ない頃の話はしましたか? 子供の時、どう過ごしていたとか……」

「いえ、私にはそういう話はしてくれませんでした」


寂しさを感じながら答える。


思い返すと、婚約前提に付き合っていた頃から、優斗君は会社の事や過去の思い出などは殆ど話してくれなかった。


それだけ、心を許して無いという証拠なんだろうけど。
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