理想の恋愛関係
「……ぼんやりしたのは緑さんの言葉に驚いたからです。
俺は今日別れを言うつもりなんて無かったから……」


……今なんて?


頭の中で、優斗君の言葉を思い返した。


―俺は今日別れを言うつもりなんて無かった―


「……ええっ!?」


思わず大きな声を上げてしまった。


そのせいで周りの視線が一気に集まる。


気まずさでいっぱいになる私に、優斗君は珍しく笑ってみせた。


「今日は本当に花のお礼を言いたかっただけです。
それから緑さんの見た女性については、細かい事は省くけど、とにかく誤解です」

「え……嘘、だって……」


私は混乱したまま、視線をさまよわせた。


私……もしかしたら早とちりした?


思い込みで、話をしていた?


そうだったらかなり恥ずかしい。


でもそれよりも、優斗君は彼女と寄りを戻していなかった事実に感動のような気持ちが込み上げて来る。


何も言えないでいると、優斗君が話し始めた。


「緑さん、正直に言うけど俺は緑さんの事、好きかと聞かれたらよく分からないんです」

「……えっ? それってどういう意味?」


私はどう反応すればいいのか迷いながら、優斗君を見つめた。


「緑さんが、俺と母さんをずっと心配して気にかけてくれてた事は分かっています。だから俺もちゃんと緑さんと向き合おうと思って本音を言ってるんです」

「そ、それで本音が好きじゃ無いって事なの?」


向き合って貰えた事は嬉しいけど、内容が……。


好かれていないと分かってはいたはずなのに、複雑な気持ちになる。

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