理想の恋愛関係
優斗君……あの時、どんな気持ちだったんだろう。


今の私と同じくらい……もしかしてそれ以上にウンザリしていた?


確かに、嫌そうな顔はしてたけど。


項垂れる私に、袋小路さんは心配そうに声をかけて来た。


「栖川さん、大丈夫ですか?」


顔を上げると、気遣う様に私を見つめて来るつぶらな目と視線が重なった。


……悪い人じゃないかもしれない。


でも、気持ちには答えられない。


だから、私はこれ以上ない程の冷たい声で言った。


「何と言われても、付き合う事は有りません。
私達の関係が変わる事は絶対に有りませんから」


この場合、気持ちは嬉しいなんて優しい言葉を口にしたら変な期待を持たせてしまう。


望みを断ち切ってもらう為に、私は容赦なく言い切った。


俯いてしまった袋小路さんに別れを告げて、私は一人でレストランを出た。
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