理想の恋愛関係
優斗君とパーティー。


二人寄り添って、優斗君の仕事の関係者と挨拶を交わして、気の利いた会話をする。


―ご結婚はいつ頃の予定ですか?―


なんて人の良さそうな、どこかの社長に聞かれた優斗君は、


―まだ付き合い初めたばかりなんで……でもいつかはと思ってます―


なんて、照れながら答えて、二人で微笑みあって…………そんな空想の世界に羽ばたいていると、

「緑さんには仕事の関係者って事で参加して欲しいんだ」

優斗君の声が聞こえて来て、私は現実世界に舞い戻った。


「あ、はい、そうよね。分かったわ」


まあ、仕事とは言ってもパートナーに選ばれたのだからもの凄い進歩だと思う。


感動に浸っていると、優斗君が思いついたように言った。


「あ、でも日曜日仕事なら厳しいかな。集まりは夜だから」

「だ、大丈夫! 私の事は気にしないで、と言うより是非行きたいわ」


この貴重な役目を他の人に渡す訳にはいかない。


あの吉澤留美とかに代わられるくらいなら、這ってでも出席する!
と言うより大して疲れてないし。


ああ、健康な身体で良かった。


そう思いながら何気なく自分の手を見た瞬間、ギョッとした。

目に飛び込んで来たのは、手入れを怠ったガタガタの手。


そして、欠けてしまった爪。


仕事で傷付けちゃう事が有るから仕方ないんだけれど……こんな手で優斗君の同伴者を名乗る資格は無い!


明日、朝一でサロンに行かないと……ドレスも新しく買うべき?


考え込んでいると、優斗君の怪訝な声が聞こえて来た。



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