理想の恋愛関係
幸せな夜が明けた。
私は朝から仕事だった。


若干疲れているけれど、それでも気分は最高だった。



「それでね、二人で手を繋いで家に帰ったのよ」


昼の休憩時間になると、早速昨夜の出来事を鈴香に報告する。


「へー意外な展開。それで、その後は?」


鈴香は少し驚いたようだった。


「だから家に帰ったんだけど。優斗君が送ってくれて」

「二ノ宮優斗は部屋に上がらなかったの?」


鈴香が怪訝な顔をして言う。


「上がらなかったけど」

「え? じゃあ手を繋いだだけ?」


呆れた様子の鈴香に、私はムッとしながら言った。


「だけって事はないでしょ? ここまで来るのにどれほど苦労したか……大進歩じゃない」

「そうだけど……じゃあ、あの張り切って買った下着はまだ出番無しか」


……実は昨日着けてましたとは言い辛い。


「……まあね。でもとにかく、今までに無いくらい上手くいってるの」

「そうなんだ……それで付き合うって話にはなったの?」

「え? それはまだ……」

「じゃあ、やっぱり手を繋いだだけ? 大した進展じゃないじゃない」


ズバリ言われて、私は不満でいっぱいになりながらも黙るしかなかった。
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