理想の恋愛関係
それからも優斗君からの連絡は無かった。


たまりかねて一度メールをしてみると返信は来たけれど、相変わらず忙しいとの事だった。




「あーあー」


顧客との打ち合わせを終えて事務所に帰った私は、机に突っ伏すと力の無い声を上げた。


「ど、どうしたの?」


思いがけずに鈴香の声が聞こえて来て、私はビクッと体を起した。


「い、居たの?」

「居たけど……緑が帰って来た時からここに」

「……気配消してたでしょ? 気付かなかった」

「いや、消せないと思うけど……それよりどうしたの? その豪快な溜息」


鈴香は私の隣に椅子を持って来ながら言った。


完全に聞く態勢に入ってる。


「……優斗君の仕事が忙しくて、あまり会えないの」


なんとなく一度も会ってないとは言いづらかった。


妙な見栄を張ってしまう。

鈴香は不審がる事無く、あっさりと言った。


「仕事なら仕方ないね。彼は責任有る立場だろうから仕事も多いし、適当な事は出来ないでしょう」

「まあ、そうだけど」

「デートだからって浮かれて仕事を疎かにする男よりはいいと思うけど」

「まあ……そうだけど」

「何がそんなに不満なの?」


鈴香は怪訝な顔で言う。


「不満って言うか……タイミングが悪いと思って。付き合い始めなんだし、もうちょっと盛り上がりたいでしょ? でもなかなか会えないから」

「ああ……寂しいって事か」


端的に言えばそうなんだけど。


でも気持ちとしてはそんな簡単なものじゃない。


優斗君に会えなくて寂しい。

声が聞けなくて寂しい。

気持ちの温度差が有って寂しい。

付き合ってるのに、私ばかりが好きで寂しい。


もう、寂しい要素が満載過ぎてストレスが溜まってしまう。


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