理想の恋愛関係
「……泊まっては来ないけど帰りが毎日遅くて……連絡も無いの」


そ、それは帰って来ないって言わないんじゃ。


「……仕事が忙しいんじゃないでしょうか? 優斗君は責任の有る立場ですし、毎日帰って来るならそれ程心配しなくても……」


脱力した気持ちでそう言うと、お母さんは歯切れ悪く続けた。


「でも具合も悪そうで……この前、沢山薬飲んでたし」


……話す順番が違うと言いたい。


「薬の事、優斗君に聞いてみましたか?」

「いえ……」

「見た感じで何の薬でしたか?」

「白い粉だったわ」


……つまり何も手がかり無しと言う事だ。


やっぱり優斗君に直接聞くしか無いと思う。


おっとりしたお母さんには難しいかもしれないけど、帰って来たところを待ち構えて強引に聞き出すとか。


そう考えて、ふと疑問に思った。


お母さんはなぜ私に相談の電話をして来たのだろう。


お母さんは、親しくしている友人や親戚がいないと優斗君に聞いた事は有るけれど、私だってそれ程親しい訳じゃない。


それに以前、キツい事を言ってしまった事も有る。


私よりはマシな相談相手が居そうなものなのに。


それ以前に、優斗君に直接聞くのが一番いいんじゃ……。


「あの、優斗君が帰るのを待って直接聞いた方がいいです。具合が悪いなら病院に行く必要が有りますけど、とにかく本人に症状を聞かないと」


話している内に、優斗君なら自分で体調管理するんじゃないかと思えて来た。


仕事が忙しくて、病院に行く暇が無いって事は有るかもしれないけど。


あれ?
でもそうすると、お母さんの言っていた薬って言うのは……。


なんだか話がおかしな気がする。


何もかもが曖昧と言うか。


首を傾げていると、お母さんは躊躇いながら言った。

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