理想の恋愛関係
「優斗君!」


目の前に立ち呼びかけると、優斗君はかなり驚いた顔をした。



「……こんな所で何をしてるんですか? 」


完全に警戒した様子で、聞かれた。


「優斗君を待っていたんだけど」


そう答えると、優斗君は怪訝な顔で私を見た。



「……何か用ですか?」



少し前まで付き合っていたとは思えない素っ気無さで優斗君は言った。


早くも挫けそうになる。


でもなんとか気持ちを奮い立たせて、笑顔を作った。



「優斗君は今、一人だって聞いたから」

「えっ?」


訳が分からないと言った様子の優斗君に、更に言う。


「婚約破棄の原因の彼女には、ふられたんでしょ?」

「……ええ、そうです。以前話した気もしますが」


そう答える声は低く、彼の苛立ちが伝わって来た。


迷惑そうな顔……でも、なんとしても今伝えないといけない。


次の機会なんて有るかも分からないのだから。


「この前聞いて凄く驚いたの。それで私真剣に考えた……優斗君、私達やり直さない?」

「はっ?!」


微塵も予想もしなかった言葉だったようで、優斗君は唖然とした様子で私を見た。
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