いとしのくまこさん
「篠崎さん、もしかして伊吹くんのこと、狙ってます?」


「狙わない、狙わない。もうちょっと肉づきのいい子がいいから」


同じフロアにいたときに、マッチョな配達員の黒々とした太くたくましい腕を目にしてからというもの、ずっとため息をついていたのを思い出した。


「愛でることはプラトニックなのよね。あたしの美学、かな」


そういうと、篠崎さんは頬を赤らめた。


「もしかしてカオルコちゃんの近くにいる人が、白馬の王子様だったりして」


「滝川部長はただのおじさまだけど」


「夢がないわね」
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