理想の恋愛
呆れ果ててため息をつく。するとそこに…。


「あら、お二人さん仲睦まじいことね」


 いいものを見つけたといわんばかりの顔で明香が覗き込んできていた。嫌な奴に見つかったものだ。


「いつの間にこんなに進展していたのかしら?」
「進展も何もこれは事故だ!」

 無駄とわかりながらも訴える。

「ほー、事故とはどういう事かな?」
「うっ…」


 -どうしたものか…。これを説明するとなるとこいつに昨晩の出来事を説明しなければならなくなる。それはそれで余計に厄介なことになる。こいつに昨日、俺が麗の家に泊まって一緒に寝たなどと知れたらどこまで妄想を広げるか分かったものじゃないからな…。

「みなさーん! 神童実と水無月麗がラブラブ弁当を持ってきてますよー!」
「あ! このバカ!!」


 明香の言葉に女子連中からは冷やかしの言葉が多数上がってきた。男子連中からは無言の威圧…いわゆる殺気が俺に向けられた。

 -どうやら麗がモテるというのは本当のようだな。
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