理想の恋愛
麗のお袋さんは俺のお袋と高校生時代の友達だったらしく、母が亡くなってからも一人暮らしをしている俺を何かと気にかけてくれて、おそそわけもよくもらっていた。

「そういうことなら、もらって行くわ」
じゃあ、ちょっと待ってて」

そういうと麗はキッチンに向かって行った。
5分程して温めなおしたと思われるカレーを持ってきた。

「おぉ、カレーか」


麗のお袋さんのカレーは絶品だった。

「うん、ママが出かけるときはいっつもカレーなんだ。」

そういえばカレーは麗の大好物だったな。


「お袋さん今日はどこに行ってんだ?」
「なんか町内の人達と飲み会だって」

カレーを頬張りながら答える麗
毎度のことながら口に物を入れながらしゃべるなよ。
と、心の中でツッコむ。

それにしても、麗のお袋さんはよく飲みに行くなぁ、などと思いながら、
20分程してカレーを食べ終えた俺と麗は食器を片づけて時計の針を確認する。

「もうすぐ8時半か」

そろそろ帰るか。
そう思い立ち上がろうとした時に電話がかかってきた。

あわてて麗が電話に出る。
口調からして相手は麗のお袋さんだと思われる。
2分程話してから麗は電話を切る。
話を聞いていて限りではお袋さんは泥酔していたようだが。

「お袋さん、なんだって?」
「うん、今日は帰らないって。」

おそらく朝まで飲むつもりだろう。
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