高校生ー揺れる関係ー
「今日はありがとうございました。
お先に失礼します。」
と、一樹のお父さんは私達にお辞儀をして、一樹と手を繋ぎ、一緒に駐車場に向かった。

お母さんも一樹と手を繋いでいた。
私達も一樹達に背を向け、駅へと向かった。

私は、涙で視界が歪んだ。
栄一は何も言わず、ただ私の前を歩いて、自分の服の袖を私に握らせた。

けど、後ろから子供の泣き声が聞こえた。
私達に聞いたことある泣き声だった。
私は、自分の涙を拭い、後ろを振り向いた。
そこには、私達めがけて泣きながら走る一樹が居た。
私はそれを見て、栄一の袖を離してしゃがんだ。

そして、私達の元に走ってきた一樹を抱き締めた。

「一樹…か、ず…き。
離れ・・・た・・・くな・・・ぃ・・・よ。」
と、ひたすら泣きながら一樹に泣きついた。
一樹はずっと「ママ」と言ってくれた。

栄一もそんな私達の隣で頭を撫でてくれた。

一樹の両親は、お母さんは泣いて、お父さんが宥めてた。

(これくらい許してください。)
と願った。

私は、涙が枯れるかと思うくらい泣いて、涙が出なくなったから、一樹の顔を見たくて、肩にあった一樹の頭を優しく掴み、私のおでこと一樹のおでこをくっつけた

「一樹大好きだよ…。
短い間だったけど、一樹のママにしてくれてありがとう。」
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