高校生ー揺れる関係ー
「なんていう大雑把な。
まぁ、いいか。

せーんーせーい、教科書とか持ってないんですけど。」

「忘れ物ですか。
初めての授業でいい度胸してるねー。」

「すみません。
ほら、先生、早く授業進めてください。」

「慌てるな、慌てるな。
時間はたっぷりあるんだから。
ゆっくり進めますかーね。」
と言って、私は黒板にあることを書きだした。

【コツコツコツ】
教室に2人しかいなくて、お互い何も話さないから教室には黒板とチョークが当たる音が鳴り響く。

【コツコツコツ…ポンっ】
「よし、書けた。」
と黒板に書いた文字を見ながら、手に付いたチョークの粉を払った。
「さぁ、栄一。
これを読んでみろ。」
黒板を叩いてみた。

「え…それって。」

「今回の授業の題材。
ほれ、早く!」

「 “いつめんのこれまで”  」

「はーい、よく読めました。
というわけでこれについてやりましょー。」

「ぶーーぶーー。
てか、他になかったのか?」

「考えたけど、出したら出したで栄一に馬鹿にされるのが落ちだから。
それとも栄一の大好きな英語でも勉強する?(笑)」

「楽しくない授業にするのか。
この悪魔。」

「なんとでもいいな。
さぁ、どっちがやりたいのか?」

「英語以外。」

「言うと思った。
素直に言うこと聞いてなさい。」

「はいはい。」

「さぁーじゃあ、やりますか。
さぁ、まずはいつめんの生い立ちから
お勉強しましょうか。」

「おー。」

「まずは、有紗から。
えーっと、有紗って何月生まれだっけ?」

「もうそこからおかしいな。
有紗は7月生まれだ。
変わってやろっか?」

「絶対嫌だ。」

「なら、ちゃんとやろうか。」

「へいへい。
じゃあ、歩の誕生日は1月生まれました。
ちなみに未熟児だったらしい。」

「そうなのか?!」
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