ナギとイザナギ
 大地のおばあさんが家宝の剣を貸してくれて、イザナギさんは胸をなでおろしていたに違いない。
 なにせ、これがあれば、さぎりを助けられるからね。
「でもさ、イザナギさん。この剣でどうやって助けるの」
 僕が尋ねると、イザナギさんは剣を腰に装備しながら言った。
「他の剣では、神の本体を斬ることができないんだ。なぜかわかるか」
「神の、本体」
 僕は考えた。神は肉体を持たないはずだ。魂だけの存在。すなわちそれは。
「わかった。レプリカの神器だと、効果がないんだね」
 イザナギさんはそのとおりだと頷いた。
 じいちゃんに聞いたことがあったんだ。全国にある神社の神器は、ほとんどがレプリカ、模造品であると。 
 まあね。本物の神器なんて、あるわけないと、思ってたんだけどさ。
「だが、大地の家宝の剣は本物の神殺しの剣なのだ。よし、これでイザナミを倒すことが、できる」
 言い方が激しいので、吹っ切れたのだろうか。それとも、勢いをつけたかっただけとか。どちらでもいいけど。
「よっしゃ。それじゃあ、さぎりを助けに行こうぜぇ」
 もっと突っ走りそうなのがいた。僕は先が思いやられそうで、気が重たいんだが。
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