密の味~しなやかにつけこんで~
そして私は。
真実を確かめる為。
隣の男の部屋にいた。
「嘘じゃなかったでしょ?」
得意げな声がやけに癇に触る。
突き付けられた現実を、受け入れられない今。
負の感情が全て、元凶とも言える隣人の男に向けられていた。
何故、この男は。
私に真実を伝えたのか。
「どうして、私に知らせたの?」
行き場のない怒りを込めて、疑問をぶつける。
「だって付け込めると思って」
「!?」
予想外の言葉に私は思わず怯んでしまい……。
「ね、付け込んでいい?」
付け入る隙を与えてしまった――。