その指に触れて
「俺のことが好きで元カレとそういうことになったんなら、俺が関係してるんでしょ?」

「違うよ」


ぽつりと呟く。「へっ?」と、遥斗のマヌケな声が倉庫の中に響く。


「遥斗は関係ない。あたしが勝手に遥斗を好きになって、あたしが勝手に元カレを受け入れた。それだけ。全部自業自得」

「万梨ちゃん、あのね」


呆れたように遥斗がため息を漏らす。


なんであたしが呆れられなきゃなんないの?


「それって、俺に関係大ありじゃん」

「ないよ。あたしが勝手にやったことなんだから。さっさと帰って」

「そう言って、また一人で泣くんでしょ?」

「……また?」

「気づいてたよ。俺の膝で寝たとき、泣いてたでしょ」

「……いや、別に泣いてなんか」

「俺に顔を背けた時ね。ついでに寝てる時にも泣いてた。俺の名前なんか呼んじゃってさ」

「……よ、呼んでない、呼んでない」

「無意識にです」


かあっと顔が熱くなる。本人の前でなんてことをやってしまったんだ。


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