その指に触れて
「……彼女は?」

「え?」

「彼女、いたら誤解されたくないし」


彼女巻き込むとめんどくさいんだよ、こういうの。


まあ、こいつのことだから、いないだろうけど……。


「ん? 今はいないよ」

「今は?」

「元カノはいたけど」

「うっそお!?」


思わず大声を上げてしまった。


いや、だって、普通信じらんないよ。


いかにも草食系で、気弱そうで、顔の割に大きいメガネかけてて、髪型も整ってるとは言い難いし、女と二人家にいても普通に話して終わり、みたいな男が彼女いたなんて。


まあ、顔は分類すれば可愛い系かなとは思うけど。


「失礼だな。俺だって彼女くらいいたよ」


むっとした山田くんは、口をわずかに突き出した。


いや、アヒル口しても可愛くないからね。


「あんた、いくつよ。この学校で17で彼女いましたなんて男、半分もいないわよ。年齢騙してんの?」

「……ちゃんと17歳だけど」


まさかの希少価値だ、こいつ。


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