この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

6年前のことを言うつもりで口を開いた。最後に銀に抱かれた日のことを言おうとしたんだ。


でも、そこまで言いかけた私は、あることに気づいく。


銀は私が彼のマンションに行ったことなんて知らない。もちろん、抱いたのが私だってことも……もし、そのことを銀に話したら、勘のいい銀のことだ。あのことに気づくかもしれない。


華の本当の父親が誰なのかということに……


簡単な計算さえすれば、華をいつ妊娠したかなんて、すぐに分かってしまう。まだ銀には華が自分の子供だと知られたくない。


「俺が女と……なんだ?」

「あ、だから、見たの……」

「ハッキリ言えよ」

「銀が出てって半年くらいたった頃、女の人と車に乗ってたとこ」


咄嗟に出たのが、この中途半端な嘘。


「女と車に乗ってたら、デキてるってことなのか? ったく……話しにならねぇな」


おっしゃるとおりだ。


「いいか? 確かに、言い寄ってくる女は腐るほどいた。気まぐれで相手してやった女も居なかった訳じゃない。でもな、それは単なる遊びで本気じゃねぇよ」


それは、あの女性のことを言ってるの? ただの遊びだったって言いたいの?


「どんな美人でも好きにはなれなかった。なぜだと思う?」

「さあ……」


銀の言葉を待つ間の長い沈黙――


「これが、答えだ……」


彼の艶やかなサラリとした髪が頬を掠め、震える唇に落とされる甘くて強引なキス。


これが、銀の答え?


「ぎ……ん」

「ミーメ以外の女抱いても、なんも感じねぇんだよ。お前の体でしか、俺は満足できなくなっちまった」

「あ……」


ねぇ、銀、私、素直になってもいいのかな?


心の奥にしまい込んだこの想いを全て曝け出し、あなたを抱きしめてもいい? すれ違った過去を忘れさせてくれる?


ホントはね、寂しかったんだよ。華が居ればいいなんて、嘘……ずっと銀を求めてた。


銀が恋しくて、愛しくて、欲しくて……眠れぬ夜を何度明かしたことだろう。許されるならもう一度、あなたに愛されたい。


――愛されたいよ。


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