この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

一度に色んなことがあり過ぎて、パニックを通り越してやけに冷静な自分が居る。


とにかく、横田さんの話題は避けた方がいい。うんうん。


無理やり話題を変え、銀のことを尋ねると銀は会社に戻ってすぐ会議に呼ばれたそうだ。


ふと思い出す――あの時、銀に握られた手の温もりと"泣かせるつもりはない"と言う言葉。


でもあれは、横田さんの手前、そう言ったのかもしれない。


私はまだ、期待してるのかな……


バカな私。期待すれば、また傷つくの分かってるのに……自分で自分がイヤになる。


「部長、そのまま離島へ行っちゃうのかしらねぇ」

「さあ……」


結局、銀はオフィスには戻らず、出張先の離島へと行ってしまったんだ。


やっぱりそうなんだ。銀はもう、私のことなんて……




それから私は、なるべく銀のことは考えないようにした。華にも銀は出張で運動会には来れないと正直に話した。


華の落ち込みは酷いもので、傍で見てるのが辛いほど……でも、仕方ない。華も銀のことは忘れて欲しい。華の為にも、それがいいんだ。


そして、もう一つ。華に話さなくちゃいけないことがあった。


横田さんのことだ。


「は~なちゃん!」

「何よ。ミーメさん"ちゃん"付けなんてキモいんだけど……」


華の機嫌はすこぶる悪い。


「そんなこと言わないの。あのね、華に話しがあるんだ~」

「何?」

「華はさ、おじいちゃんとか会いたいなぁ~って、思ったことない?」

「はぁ? なんで、おじいちゃんとかが出て来るの? 意味分かんない」

「うん、まぁそうなんだけど……実は、私のお父さん……つまり、華のおじいちゃんが誰か分かったんだよね」


華の反応を恐る恐る観察する。


キョトンとした華。


「華に……おじいちゃん居たの?」

「うん」

「ホントに、ホント?」

「ホントだよ」

「やったー! 華におじいちゃん居たんだ。やった! やったー!」


予想に反して大喜び。すっかり華の機嫌が直り、一安心。でも、それが横田さんだと知ったら、どうなんだろう?


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