この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

「有難うございます。110円になります」


結局、アイツの意味不明な理屈ぽい話しに丸めこまれ、私はコンビニで梅おにぎりを1個買う破目になった。


「あのぉ~…割り箸2本貰えますか?」

「はぁ? 割り箸? おにぎりですが……」

「あ、あのですね、私、割り箸がないとおにぎり食べれなくて……」


なんでこうなる? 恥さらしもいいとこだ。


なんとか店員に頼み込み割り箸をゲット!


公園のベンチに戻り、大人しくお弁当を抱えて待ってたヤツに割り箸を渡す。


「ほら、貰ってきたよ」

「なんだお前、おにぎりで割り箸貰ってきたのか? そんな恥ずかしいこと、よくしたな?」

「あのね~」


アンタがそうしろって言ったんだろーが! コイツ、マジムカつく。


それでも空腹には勝てず、2ふたりで残りのお弁当を突っつく。


でも、コイツ、いったい何者なんだろう。身なりはちゃんとしてるし、ホームレスって感じじゃない。


それどころか、パッと見でも分かる。高級ブランドっぽいシャツにビンテージらしきジーンズ。


そして、左手首には光り輝くシルバーのデカイ腕時計……まさか、ロレックス?


「アンタ、名前は?」

「んっ? ギンノジョウ」

「銀野 ジョーさん?」


ハーフか?


「バカ! 銀之丞……下の名前だよ」

「ぷぷっ、変な名前。サムライみたいだ」

「バカにすんな! 俺は気に入ってるんだから」

「そりゃ、失敬!」


やっぱ、変なヤツだ。


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