この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

「怜香が結婚したら、なかなか姉弟ふたりで食事も出来なくなるからって呼び出されて行ったら、なんのことはない。義母の勧める相手と結婚しろとか言い出しやがって……

俺が断るとムキになって怒り出すし、怜香は何をしでかすか分からねぇ女だから、絶対ミーメに近づけるワケにはいかなかった。

それに、このことをミーメが知ったら、有る意味ミーメも何するか分かんねぇ女だからな。確実に話がややこしくなるって思ったんだよ」

「だから、私にも何も言ってくれなかったの？」

「そうだ。でもまさか兄貴までが出てくるとはな……それは予想外だった」

「そうだったの……」


銀は私のこと、精一杯守ろうとしてくれてんだ。なのに私は、銀を疑ってばかりいた。ごめんね。銀……


「親父たちを説得するには、まだ少し時間が掛かりそうだ。待てるか？」

「うん」

「でも、説得してもダメな時は……分かってるな？」


頷く私を銀の腕が包み込む。


「ミーメとハナコは、何がなんでも幸せにする。俺を信じてろ」

「銀、信じてるよ。もう銀のこと疑ったりしないから……」


この先、どんな辛いことがあっても、銀について行こう。そう心に決めた。



「で、今日の昼飯は何にする？」

「はぁ？」


何よ!　人がせっかく幸せに浸ってたのに……お昼ご飯の心配なんてしないでよね。


「あ、そうだ」

「んっ？」

「今日のランチは、社員食堂に行こうよ」

「なんで？俺、社員食堂はあんまり好きじゃねぇし……」

「いいからぁ～銀に会わせたい人が居るんだ」

「誰だそれ？」

「まだ秘密。楽しみにしててね」


そろそろ桃ちゃんに銀がそっくりさんじゃないってこと教えてあげないとね。ふたりともビックリするだろうな～