この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
部長室を出て、自分のデスクに戻ると赤毛さんが私を待ち構えていた。
「桃尻ちゃん! アヤぴーに聞いたんだけど……沢村部長が社長の息子ってホントなの?」
「そうだよ」
「マジかよ! そんなことって……参ったな~」
赤毛さんは、かなり動揺していた。
「俺さぁ、沢村部長に失礼なことしてないよな? うん。してない。絶対、してない!」
「はぁ?」
よく言うよ。十分過ぎるほどしてきたでしょ?
「でもマズいよなぁ……これからはゴマすっとかないと出世に響くぞ。えらいことになった……」
青ざめた顔をしてオフィスを出て行く赤毛さん。
それより、今日の橋倉さんはヤケに存在感が薄い。何をしてるのかと思ったら、パンフレットを眺めてニヤニヤしてる。
「橋倉さん、何してるんっすか?」
「あぁ、神埼さん。あのね、新婚旅行どこにしようかと思って。ハワイもいいけど、やっぱりヨーロッパかしら? 神埼さんはどこがいいと思う?」
聞かなきゃ良かった……
「どこでもいいんじゃない?」
「あ、そーだ! 神埼さんと部長も結婚するんだし、私たちと一緒にW新婚旅行ってのはどう?」
「お断りします!」
「あら、即答ね?」
当然でしょ? そんなの即答に決まってる。親子で仲良く新婚旅行なんて、ありえないよ!
色ボケしてる橋倉さんを無視しして、せっせと仕事をこなし、ようやくランチの時間。
銀と社員食堂の前で待ち合わせをして、ふたりで中に入る。最近は外で食べることが多かったから、久しぶりの社食だ。
「社員食堂なんて、初めて来た」
「そうなの? 結構、美味しいよ」
トレーを持って立ってる銀の姿がなんだか可愛い。
列が進むにつれ、私のテンションは上がっていく。全ての料理をトレーに押し込んでいると銀が怪しい目つきでボソッと言う。
「おい、そんな山盛りのおかず食えるのか?」
「へーきだって~えっと、それより……」
厨房の中を覗き込み桃ちゃんを探していると……「あっ、居た!」