この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止


もしかして……奥さん?


恐ろしくて振り返ることが出来ない。


一気に緊張マックス! 体が固まり、冷や汗がジワリと滲む。


「お義母さまぁ~銀之丞ったら酷いのよ! この貧乏臭い女の言い成りになって、私を殴るなんて言うのよ。お義母様からも、なんとか言ってやって!」

「まぁー! なんてことでしょう……銀之丞さん、いつまで皆を困らすつもりなの?」


奥さんが呆れた様にそう言うと、下を向いてる私の前に立ち「この子が銀之丞さんをたぶらかしてる女なの?」って、私の顔を覗き込もうとする。


すると今までボーッとしてた社長さんが大声を上げた。


「ハニー! その子は……」

「何? この子がどうしたの?」


そして、顔を上げた私と奥さんの視線が重なり合う。


「えぇっ!!」

「うそ!!」


あまりの衝撃に、眼玉が飛び出しそうだった。だって、この人は……


「お、お母さん?」

「ミーメ……ちゃん?」


それは間違いなく、男と逃げて私を捨てた産みの親。正真正銘、私の母親だった。


「……まさか、お母さんの彼って、社長さんだったの?」

「銀之丞さんが、結婚したいって言ってたのは、ミーメちゃんだったの?」


お母さんはふフラつきながらソファーに座り込み手で顔を覆う。


「ハニー、大丈夫かい?」


社長さんがお母さんに駆け寄り、心配そうに肩を抱く。


さっきはスルーしたけど、社長さん、いくらなんでも"ハニー"はないだろ?


でも、おっちゃ……いや、社長さんの言ってたのはホントのことだったんだ。知り合いの私の身内っていうのは、お母さんのことだったんだ。


また一つ、謎が解けた。


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