この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

―――家庭訪問当日


私と銀之丞はバイトを休んで事前に作戦を練り、完璧な状態でこの時を迎えた。


「あなたが神埼さんの保護者?」

「そうです」

「その若さで?」

「そうです」

「失礼ですが、神埼さんとは、どういう関係ですか?」

「コイツの母親の兄の嫁のいとこの息子です」


なんじゃそりゃ?


「つまり……他人ってことですね?」

「いえ、親密な他人です」

「し、親密? それはつまり、神埼さんとお付き合いしてるってことですか?」


初っ端からレッドカード連発。ダメだこりゃ~。なのに全く慌てる様子もなく、堂々と胸を張るイカれポンチな銀之丞。


「付き合うとは、肉体関係があるということですよね?」


ひゃゃゃ……ちょっと、なんてこと言うのよ!


「あ、いや、まぁ……」


担任もシドロモドロ。


「なら、違いますよ。俺は、コイツと不純異性行為はしてませんから。清い関係です」


不純異性行為って、すんごくイヤらしく聞こえる。それに、清いだなんて、若者が使う言葉かよ?


押し黙ってしまった担任。暫く何か考え込んでいたが「出直してきます」と言って、そそくさと帰っていった。


銀之丞は上手くいったと笑ってたけど、私はとてもそんな風には思えず素直に喜べないでいた。すると1時間後、今度は校長を同伴して再び担任がやって来たんだ。


「もう少し詳しくお話しを聞かせて頂けますか?」


ヤバッ! 万事休すだ!


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