この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
部屋の中は不穏な雰囲気が漂い、4人小さなローテーブルを囲み座ると校長が口を開く。
「神埼君、我が校の規約を知ってるかね?」
「はい、ひとり暮らしはダメって……」
「そう、しかし、同棲はもっと困る」
そう言って銀之丞の方をチラリと見る。
「君、仕事は何を?」
「大学生です」
「ほぅ~学生で、どうやって神埼君を養っていくつもりなんだね?」
「生活費は俺の実家が援助してくれることになってる。まぁ、言ってみれば、俺はコイツの住み込みの家庭教師ってとこだな」
家庭教師? そんなの初めて聞いた。
すると校長は、笑いを堪え切れないって感じで、銀之丞を思いっきりバカにした。
「君が家庭教師? ふふふ……そんなチャラチャラした風貌で、勉強なんて教えられるのかね?」
私の頭の中でカチンと音がしたのがハッキリ分かった。
「校長先生! バカにしないで下さい! この人は頭いいんです!」
「そうかね? 私には、そんな風には見えないけど?」
先生のくせに人を見かけで判断するなっちゅーの!
「この人はね、東大生なんですよ!」
私の言葉にキョトンとした表情の先生達。でも直ぐに大笑い。
「あははは……東大生とは、またデカいことを……」
頭に血がのぼって今にも先生に掴みかかりそうだった私を銀之丞は冷静な顔で制止する。そして、無言でローテーブルの上に何かを置いた。
「これは……」
青ざめる先生達。
それは、大学の学生証だった。