この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

そっと、手を伸ばす。

微かな明かりが端正な顔立ちを浮き上がらせ、昼間見るより、ずっと素敵。


柔らかくサラサラの髪に触れ、目尻に指を滑らせる。長い睫毛がとても色っぽくて、このままキスしてしまいたいという衝動に駆られる。


「銀……」


その唇に、ほんの少し触れるだけなら……構わない?


ゆっくり顔を近づける――しかし……


「なんだ?」

「ぎょぎょっ!」


ヤバッ! 目覚ました。


「夜中に人の顔を撫でまわして何やってる?」


あぁ~どうしよう。誤魔化さないと……


「ち、違うって、今、銀の顔にゴキブリが……」


焦りまくって、つい嘘をついちゃった。


「なっ、なにぃ~! マジか? 俺はこの世で一番ゴキブリが嫌いなんだぞ! そのゴキはどこ行った?」

「あ、えっと……逃げちゃったみたい」


真っ青な顔をしてパニくってる銀。


「探せ!」

「えっ?」

「ゴキを探すんだよ! アイツと同じ空間に居ると思うだけで身の毛がよだつ。退治するまで寝かせねぇぞ!」

「はぁ~?」


それから数十分、ゴキちゃん探しが続いた。


あれは、私のついた嘘なのに。ゴキちゃんなんて居る訳ない。えらいことを言ってしまった……


するとキッチンの方から銀の雄叫びがした。


「うぉぉぉーっ! ミーメ、居たぞ!」


えっ? マジ?


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